「ピクチャーブライド」 から 「屋根裏の仏さま」

ヒマラヤスギに降る雪

このDVDは工藤夕貴さんが主演している映画、「ヒマラヤ杉に降る雪」。
以前から見ようと思っていたがその機会がなく、たまたま書店でこのDVDが販売されているのを発見して購入した。DVDの説明を引用してみると、

「第2次世界大戦からの復興が進む1954年冬、深々と雪が降り積もるワシントン州サン・ピエトロ島。漁に出た男が溺死し、日系人カズオ・ミヤモトが殺人容疑で逮捕される。裁判所には夫を見守る妻ハツエと、複雑な思いで彼女を見守る新聞記者イシュマルの姿が。二人は幼少時に共に育ち、密かに心を通わせていた過去があった。やがてイシュマルは裁判を左右する以外な真相を探り当てるが、法廷に提出することをためらう・・・。」

この裁判は、戦争が終わって9年後の12月8日をはさんで進行する。
偏見と差別、自由と正義がこの映画の背景にある。
工藤夕貴さんは映画「ピクチャーブライド」で、ハワイへ移民してきた日本人妻として主演しているが、この「ヒマラヤ杉に降る雪」はその後の映画出演であり、内容もアメリカ西海岸にあるワシントン州に住む日系アメリカ人二世を演じている。

そして戦争にともなっての、「日系人強制移住」がその背景に描かれている。
「日系人強制収容」は、以前見た映画「バンクーバーの朝日」にも描かれていた。
日本に住む私には想像もできなかった戦争の歴史がそこにある。

映画の内容や結末はここでは書かないが、1999年のアメリカ映画。
アメリカの建国の精神が根底に流れ、人権感覚が健在なときの映画だと思った。

ここではカズオ・ミヤモトの弁護人の最終弁論の後半を紹介しておこう。映画の字幕からの引用なので、英語のニュアンスとちがっているかもしれないが。

「・・・我々は彼と家族 そして数千のアメリカ人(字幕ではアメリカに強調の点がふられている)を収容所に送り込んだ。彼らは家と家財を奪われ、すべてをうしなった。彼の(警察やアメリカへの)不信は責められるでしようか。
検事は”誇り高きアメリカ市民の務めを果たせ”と(あなた方陪審員に)いう。 
あなた方(陪審員のこと)が真に務めを果たせば、カズオはもう何も恐れないでいい。
この国は幾つかの信念の上に築かれたはずです。公正と、そして平等と正義、その精神があれば、罪により人を裁いても、人種によって裁けぬはず。

私は老人です。脚もよぼよぼ、目はよく見えず、余命僅かな私が、ー  なぜこんな事を?
あなた達とちがって私は ー すべてを生死に照らして考えてしまうからです。そして火星からやって来た旅人のように、ここの現実に愕然とする。
相も変わらぬ人間の弱さが、ー 今も継承されている。
互いに憎み合い、理不尽な恐怖と偏見の犠牲者。これは小さな島の小さな裁判とお思いでしょうが、だが違うのです。
時々すべての人間が裁かれることがあるのです。人間の良心と品位が裁かれるのです。そしてあなた方のようなごく普通のに人々が、人類の成績表を提出せねばならないのです。人間性の名に置いて陪審の勤めを果たしてください。
この男を妻子のもとに返し、彼に自由を。それが務めです。」

この当時の日系アメリカ人の生活がよくわかるのが次の2冊。

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この2冊の本はジュリー・オオツカさんの作品。
作品の順でいうと「天皇が神だったころ」が2002年の作品。そして「屋根裏の仏さま」が2011年の作品。
「天皇が神だったころ」は日系人強制収容所がテーマになっている。日系人の目を通して戦争当時のアメリカ国内の様子や人々が描かれている。
そして「屋根裏の仏さま」は、ピクチャーブライドがテーマになっている。
どちらもたくさんの聞き取りや取材のもとで作られた作品で、映画「ピクチャーブライド」の背景とその後の日系アメリカ人の生活がよくわかる。
わたしがこのブログで本の内容を詳しく説明することはやめておこう。
関心を持った人たちが、自分の目や心で読んでほしいと思う。

「ピクチャーブライド」や「日系人強制収容所」の事実はあまり知られることもなく、また知らせようとする動きも少なく、多くの日本人が知らないのが現実だと思う。戦後71年の今、この事実を知っておくべきことだと、2冊の本を読んで思った。

最後に映画「ヒマラヤ杉に降る雪」のラストシーンから。
裁判が終わり、新聞記者のイシュマルは裁判所を一人出る。雪は降り続いている。
駆け寄るハツエ。

Can I hold you now?

無言でうなづくイシュマル。
抱き合い、ハツエは言う。

I’m so grateful for your gentle heart.

戸田奈津子さんの訳は「優しい心をありがとう」。

 

 

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