ザバブルグ城 眠り姫の城
カッセルの中心部からバスで移動。日本ではあまり見ることのない丘陵地帯を走る。
小高い丘の上に城の塔のような姿が見える。
きれいに手入れされた、緑の小道をのぼっていくと、
あれ?カラフルな衣装を着た若者たちと遭遇。赤い服の男性の頭に王冠?何かな?
お城の庭に、壁にバラの花。 そう、ここがグリム童話「いばら姫のお城」。ディズニーの「眠れる森の美女」のモデルの一つとなったお城「ザバブルグ城」だ。
14世紀に建てられたという本当の古城。今は個人の所有だそうだ。
松本侑子さんの資料を見てみよう。
「眠り姫」もまた、ドイツの物語ではないが、カッセルの北部のザバブルグに姫が百年眠って森に閉ざされたとされる古城がある。ここも眉唾ではないかと少々心配しながら出かけたところ、城が近づくにつれ、そんな小さな不安よりもドイツの森の偉大なる深さに畏怖の念すら抱くようになった。ここは確かに、百年の魔法の眠りの間に、木々が生い茂り、すっぽりと城を全て覆い隠し、深い深い森が幾重にも取り巻いたという童話の世界そのままの森林地帯である。
日本で森というと、山を連想するが、ザバブルグの周辺には山らしい山はない。ほとんど平らな奥深い森また森、木々が葉を伸ばす薄暗いなか、林道のような一本道を走る。昼間なのに前にも後ろにも車は一台もない。大きな野生の鹿や狼(ドイツでは狼は絶滅したらしいが)でも、ふと姿を表しそうな幽寂な気配。やけに深閑として薄気味悪いほどで、つい逃げるように猛スピードで走り抜けた。知らないうちに魔法の力にからめて異界へ連れ去られそうな恐ろしさがあったのだ。」
(左の写真は、このお城の喫茶室にあったパンフレットから。このパンフレットの赤ずきんは、シュパルムシュタットでみたものと同じだ。松本侑子さんは、このような道を車で走ったのかもしれない)
資料からの引用をもう少し続ける。
「やがて城の在り処を告げる道路標識があらわれて、ほっと安堵。しばらくゆくと古城の廃墟にたどりついた。それにしても、村も集落もない野の木立のなかに、いきなり城が姿を見せる不思議さ。果てない静かな森に覆われた人里離れた城の佇まいは、本当に、百年に渡って地元の村人にも気づかれずに眠り続けた城のように思われる。こうした辺鄙な場所柄ゆえ、私たちのほかの訪問者はほとんどなかった。ここも観光地というよりは、土地の人々が、郷土愛ゆえに、「いかにも眠り姫のメルヘンの出てきそうなおらが村の城跡を、姫様のお眠りになった城としようか・・・」と仮定した遊び心の賜物に思える。古城はすでに天井は落ち、石を積んだ壁が残る。塔と一部の建物のみが現存する。小さなところにさりげない洒落がある。たとえば城の鉄門の柵をよく見ると、野ばらの彫刻がほどこされている。等の入り口には、野ばらが両脇に植えてある・・・。眠り姫枕に眠り姫クッキーの土産物もなく、このささやかな遊び心が楽しかった。城に隣接して小さなホテルが営業している。・・・・」
松本侑子さんの資料のように、このお城の屋根もなくなり、壁だけが残っている。
入り口で見た学生風の人たちは、眠り姫の衣装を着てここで何をしていたのだろう。
この古城の庭。そこは静かな空間。
古城のホテルの喫茶室でお茶を飲む。年配のドイツ女性の係の人が親しげに注文を聞いてくれた。この風景には紅茶がよく似合う。
貴族の領地だったのだろう。古城から見えるのは手入れされたこの広い土地は庭?
喫茶ルームには猟銃と薪の暖炉。グリム兄弟の像が入口にあった。
この古城ホテルは17室しかないという小さなホテル。私たち全員が泊まることはできない。そのためラプンツェルの塔がある古城、トレンデルブルクの古城で宿泊することになっている。
狼はいないけれど馬がのんびりと草を喰んでいた。
時刻は夕方、ホテルチェックインは6時半の予定。ラプンツェルの塔のある城はどんなところだろう?