淀工第44回グリーンコンサート

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2016年1月24日(日)午後4時30分 第44回淀川工科高校グリーンコンサートの開始。

グリーンコンサートは3年生の最後の演奏。最後の最後の演奏を聞きたかった。
これまでは仕事などの関係で日曜日にはなかなか行くことができなかったが、昨年のグリーンコンサートに行った時から、次はなんとかして最後の演奏を聞きたい、と思っていたことが実現した。予想通りの、いや予想以上の素晴らしい演奏会だった。

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左下の写真は、会場のフェスティバルホールのロビーに展示されていたもの。
部員たちがコンサート本番までの自分たちへの応援のために作ったものだろう。
今日はその本番。
会場は満席だった。
いつもより高校生などの学生らしい姿が目に入る。日曜日だから参加しやすいこともあるのだろう。

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プログラムは下記の通り。オープニングは昨年と同じく「翼を下さい」。

手話が美しい。私は手話は全く知らないが、手話を使っている友人から「手話にも方言というか、個性がある。きれいなあと思える手話をする人がいる」というような話を聞いたことがある。今年見た手話をする部員の姿は、その美しい手話だったのだろうと思う。

今年のテーマは「過去、現在、未来・・・」とプログラムに書いてあった。
その文章を紹介すると、

 昨年ラグビーワールドカップ南アフリカ戦の日本の勝利は、テレビをはじめマスコミで大きく取り上げられました。五郎丸選手は、「ラグビーに奇跡なんかない。これは必然です』と述べていました。世界一過酷な練習に耐えぬいた自信と誇りがあるからこそ言えるコメントでしょう。そんな彼を支えたのはジョン・カーワン前ヘッドコーチからの言葉でした。
”「五郎丸、過去は変えられるか?」もちろんノーだ。
「では未来は?」 それならイエスと答えると、ジョン・カーワンはさえぎるように語り始めた。
「違う、お前が変えられるのは現在だけだ。今を変えない限り、未来は変わらない』”

 私たちはこの1年、今を変える努力を精一杯やってきました。本日演奏する一曲一曲にその思いを乗せて演奏したいと思います。(文・宮代和音、近田優月)

「一曲一曲にその思いを乗せて・・・」、そのオープニングが手話付きの「翼を下さい」なのかと胸が熱くなる。

オープニングにつづいて2年生による「ジュピリー序曲』。
ジュピリーというのは、司会の田頭さんによると「25年、50年などの周年によるお祝い」ということだそうだ。結婚25年の銀婚式はシルバー・ジュピリー、50年の金婚式がゴールデン・ジュピリーというのはそういうことだという説明があった。
プログラムの「今を輝く2年生の舞台はきっと未来を変えていくでしょう」のように、キレの良い華やかな演奏だった。

続いて3年生の「カーペンターズ・フォーエバー」。淀工の演奏会の定番のようによく演奏される曲。丸谷先生のおっしゃるには「カーペンターズ自身よりも多くこの演奏をしてきた3年生です」。
3年生の部員たちはこのカーペンターズ・フォーエバーに、渾身の思いを込めているのだろうな、とその思いがつたわってくるような演奏だった。

そして1部のメインともいえる「大阪俗謡による幻想曲」。
この曲についての詳しい解説がプログラムにあったので、背景がよくわかった。

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新聞の記事を簡単に紹介すると、

作曲者の大栗裕(1918〜1982)は大阪・船場の生まれ。高校の吹奏楽でホルンを担当してクラシックにめざめ、日本交響楽団(現NHK交響楽団)の首席を務めるまでの名手に。1950年に朝比奈隆が創設した関西交響楽団(現大阪フィル)の首席に招かれる。朝比奈と大栗は戦禍のもとで共に音楽活動を続けた運命の盟友だった。
朝比奈が1956年にウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団とベルリン・フィルの楽団を率いて大栗が作曲した「大阪俗謡による幻想曲」を演奏した。現地ではブラームスやベートーヴェンの交響曲と併せて演奏され、喝采を浴びたと伝えられている。・・・

うーん、そんなに素晴らしい曲だとは全く知らなかった。この淀工の演奏会で何回か聞いたことがあるが、こんな背景があるとは知らなかった。プログラムにある曲目紹介や演奏会での説明があるとよくわかる。

丸谷先生と司会の田頭さんの話によると、
「コンクールで賞を取りましたが、何かもっと自分の好きな曲をやろうとこの曲をやりました。まわりからなんでこんな曲を、という声もありました。
演奏の時間も長いので作曲者の大栗さんのところに行き、こんな形ではどうでしょうか、と相談しました。とても気さくな人でした。」そうして出来上がった改訂版がこの曲で、全国の中高生の吹奏楽部が演奏するようになったそうだ。

天神祭、大阪の夏祭りの雰囲気が、締太鼓やカネ、鈴の音で盛り上がってくる。
大阪で生まれた名曲を大阪が産んだ淀工の演奏で聞けるのも、このグリーンコンサートの醍醐味だと思う。

OBの「スターウォーズ」はさすがの迫力。卒業生は2000人を超えるという。その一人ひとりを丸谷先生は覚えているという。「親御さんよりも沢山の時間をともにしてきましたから、かってに覚えるんです」とニッコリと笑う丸谷先生。

このあとの1年生のフレッシュコーナーの曲当てクイズも例年のように楽しかった。大阪府立の高校だから校区はないが、隣の県の中学から来た子もいる。この淀工で学びたいために引っ越ししてきたのだろう。
私が淀工の演奏会を知ったのは、妻の知り合いの小学校の先生からだ。教え子が淀工のブラスバンドをやっているので、演奏会のチケットを買ってほしい、という依頼から始まった。その当時は、部員や部員の家族がチケット販売に走り回っていたのだ。
ところが今は、チケットぴあなどで販売当日に完売という人気。
フェスティバルホールの4回公演がすべて満席という大人気になった。

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第二部の「交響詩ローマの松」も「故郷(ふるさと)」も今回のテーマである「過去・現在・未来」にふさわしいものだった。

グリーンコンサートの圧巻はラストの「ザ・ヒットパレード」。

恒例の三三七拍子で「大相撲琴奨菊の優勝を祝して」と出てきたのには、会場も驚きの声と拍手。さすが大阪のブラスバンドの演奏会。サービス精神満開。

「山の頂上は、人にその道の険しかったことを忘れさせます。
 その最後のステージに立って、君たちは何を感じているのでしょうか。
 いろんな苦しかったことは、今は懐かしい思い出ですね。
 ・・・・・君たちの前途に幸多からんことを祈ります。」

「乾杯」の演奏とオーバーラップするメッセージ。
舞台の前に並ぶ3年生。顔が紅潮し、涙顔の子たちも。
人生の大舞台の前に立つ3年生。ブラスバンド部の経験がきっとこの子たちを支えるに違いない。この体験が自分自身を信じる力になるに違いない。
淀工の部員たちの立ち姿は本当に美しい。まっすぐに立つ、ということがこんなにも美しいのかと思う。

「乾杯」の演奏が終わり、花束の贈呈。拍手がとまらない。丸谷先生が「ありがとうございます」と2回、3回言うが拍手はまだまだ続く。拍手を送るしかない、そんな雰囲気がフェスティバルホールの会場全体を包んでいる。
これまでの丸谷先生だったら何か挨拶があるのだが、真っ赤に紅潮された顔でマイクを握り思わず涙、「乾杯でした!」の一言。またもや大拍手。

最後のマーチの演奏に「時間も大幅にすぎてしまいました。お急ぎ方はこの曲にあわせてお帰りください」と丸谷先生は笑いを誘うがだれも席を立たない。
隣の席にいる人が「今日はアンコールはないわね」「ほんと、おつかれさまでしたものね」と話している。そう、だれもアンコールを催促するような拍手のしかたをしなかった。

会場の外に出ると、夜空の高いところに満月が輝いている。
空気は冷たかったが、私の心は暖かかった。どの人もそうだったに違いない。
淀工の部員の笑顔も素晴らしかったが、会場にいた人たちの笑顔もいっぱいだった。

 

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