教師の心が折れるとき

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この本は、出先の事務所にあった「日本教育新聞」の書評で見つけた本。

タイトルの凄さにびっくりした。記事を読んでみると近畿中央病院のメンタルヘルスセンターの副所長の井上さんが書かれたもの。
近畿中央病院といえば、私の中学校3年生の担任の先生が結核で入院されたところ。
クラスの何人かでお見舞いに行ったことを覚えている。
筆写紹介のところに、「10年以上にわたり、学校教職員の専門病院で、教職員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援をおこなってきた。教員である前に、まずは人として元気になってもらうことをモットーに、これまで400人以上の教員に職場復帰支援を実施し、復帰率は80%近くにのぼる。・・・」とある。

図書館にあったので早速予約して読んでみる。

この本はすべての学校において欲しい本。またあらゆる研修の場でこの本のことを紹介してほしい本。学校を専門とした本だけれど、働く人にとっては必須の考え方が紹介されている。
内容を少し紹介してみたい。

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厚生労働省の調査によると、教員は疲労を感じる度合いが一般労働者の3〜4倍高いという。一般企業の労働者は、仕事での身体披露度合について、「とても疲れる」が14.1%、「やや疲れる」が58.1%。教員の場合は、「とても疲れる」が44.9%、「やや疲れる」が47.6%にのぼっている。
仕事のストレス度も「仕事量の問題を」を感じる一般企業労働者は32.3%で、教員は60.8%である。
「他の公務員と同じように雇用は安定しているけれども、公的な住民サービスをする立場上、逃げ場がないことが「やらなければならない」気持ちに拍車をかけているようだ」と分析されている、また
第1章には、「心が折れた教員の姿」「ダウンする教員傾向」などの実態が書かれている。

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ここでは、サポートの段階的なサボートや管理職向けの研修、職場復帰プログラムの紹介がなされている。ここで一番知っておかなくてはならないことは、さまざまなサポートのためのサービスがあるということだ。たとえば、公立学校共済組合のサービスが紹介されている。

◎面談によるメンタルヘルス相談
全国に180ヶ所、ご希望の場所で相談を受けることができます。
予約受付 0120−783−269
平日 午前9時から午後9時まで
土曜日 午前9時から午後4時まで
(要確認)組合員証の記号、番号
◎教職員健康相談24
24時間電話相談
予約受付 電話0120−24−8349(年中無休)

◎メンタルヘルス相談
公立学校共済直営病院(この本の巻末に紹介されている)

こういったサービスがある問いことを知っているだけでも支えになる。

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第3章には、

1.多忙と孤独感でダウンしたケース

2.管理職との関係に悩みダウンしたケース

3.転勤後1〜2年以内にダウンしたケース

4.新任2年目でダウンしたケース

5.生徒指導でダウンしたケース

6.保護者対応でメンタル不全になりかけたケース

のように、さまざまなケースについて事例の紹介と具体的な対応の実態が紹介されている。私の一番びっくりしたのは、職場復帰に際しては、「周囲は飲みに誘わない」と最後に書かれていたことだった。
良かれと思って誘うことよりも、まず本人の健康と生活リズムを大切にすることのほうが絶対に必要なことをここで知った。

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第4章と第5章においては、教員がメンタルヘルスを維持するためのポイントや、ダウンした場合の具体的な処方が書かれている。
メンタルヘルス対策は、段階に応じた対応が必要であると、次の7つの段階が紹介されている。

1.予防
2.受診の検討
3.不調を訴える職員が出た時の対応
4.通院・治療・療養中の対応
5.慣らし出勤(プレ出勤)
6.復帰
7.再発防止

まず予防で大事なのは、ストレスサインが出ていないか、どうか。
自分を客観的に見るために、次のようなストレスチェックシートが紹介されている。

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「いいえ」0点、「時々」 1点、 「しばしば」2点、「常に」 3点として
合計点をだす。ただし質問2,4,6、8、10、12の点は加算しない。
合計10点以下は・・・健康(青信号)
合計11〜15点は・・半健康状態(黄信号)
合計16点以上は・・・うつ状態の疑い(赤信号)
赤信号の人は専門医の受診をすすめている。

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この章では、メンタルヘルス不全で受診・治療に至ったあとの注意点について解説されている。
通院・治療から、休業を経ての慣らし出勤(プレ出勤)、復職、そして再発防止の段階について詳しく書かれている。とりわけ、本人だけではなく家族や管理職や同僚が気をつけていかなくてはならないことが書かれていることは、非常に参考になると思う。

お酒といえば、次のようなことが書かれていた。大事なことだと思う。
「調子が悪くて休養に入った同僚が出たとき、「気づいてやれなかった。話を聞こう」と、療養者を飲みに誘う方がいます。誘う側は善意なのですが、療養に入った直後の場合は、療養者にとっては、迷惑以外の何ものでもありません。「何もしてあげられなかった罪悪感」は、仲間内で共有することにとどめて、休業に入った教員に対しては、療養に専念できるよう、しばらくはそっとしてあげてくださいね。」

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付録として、「保護者対応のポイント」が載せられている。

どんな職場でも、教職員以外でも、人との対応は本当に難しくなってきている。

誠意さえあれば、きっと通じる。
話せばわかってもらえる。

このようなことが通用しないケースが多くなってきたのではないだろうか。

対応のポイントは?
この本を手にとって見てほしい。

一つだけ紹介すると、「対応困難な方」への注意として、「仲間割れに注意」を項を上げて説明されている。

(対応困難な方は)「あの先生はこうしてくれたのに、あなたはしてくれない」など、教職員チームを分断するような働きかけを無意識に行うことがあります。教職員のチームが仲間割れすることのないように気をつけてください。逆に、支えあう教職員チームに守られている感じをおぼえて安心する人もいます。・・・・・

多くの教職員、教育に携わる人に知ってほしい本と思う。

*教師の心が折れるときー教員のメンタルヘルス実態と予防・対処法
*著 臨床心理士 井上麻紀
*大月書店 2015年5月20日第一刷発行 1500円+税

 

 

 

 

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