進化とはなにか

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新聞の書評蘭で、興味がわいた本がこの本。

学校でダーウィンやメンデルなどのことを習ったので、なんとなく知っている気分になっているが、あらためて考えてみると、進化論についてまとまった本を読んだことがないことに気がついた。

この本はリチャード・ドーキンスさんのクリスマス・レクチャーをもとにした本なので、たいへん読みやすかった。
また日本は西洋諸国に比べて進化論に対する宗教的なアレルギーが無いため(と私は思うが)、私には理解しやすいように思えた本だった。

目次は次の通り。

第1章 宇宙で目を覚ます。
第2章 デザインされた物と「デザイノイド」(デザインされたようにみえる)物体
第3章 「不可能な山」に登る
第4章 紫外線の庭
第5章 「目的」の創造
第6章 真実を大事にするー吉成真由美インタビュー

第2章の「デザイノイド」という言葉は大変興味深い。あたかもデザインされたかのように見える自然の巧みさにびっくりすることがある。食虫植物や人間の目など、だれかがデザインをして作ったのかと思ってしまう。これが本当に自然選択の進化のせいなのか、神の御技ではないかと疑問を持つ人達が過去にいたことは当然だろう。

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左の絵で、上にあるのがハリネズミ、真ん中の動物はハリモグラ。見た感じはよく似ている。ハリネズミは昆虫やミミズなどを食べ、ハリモグラはアリを食べている。どちらもトゲトゲの外皮で敵から身を守っているが、ハリモグラは哺乳類でも卵を産んで母乳で育てるという原始的な哺乳類である。現在はオーストラリアやニューギニアなどに生育している。
下の写真の犬は今は絶滅したフクロウオオカミで、コアラなどのような有袋類である。

同じような環境で、同じような生活をしていることによって、形が似てくるという例である。形は似ていても内部は違っている。
そのどちらもが進化の先頭にいている(していた)。
違った生物が、自然選択という進化の結果、結果として形が似てきたのである。
そこからは以前の形態に戻ることができない。戻って進化をやり直すことができない。その時の進化の頂点という「不可能な山」のそれぞれの峰の上に立っているからだと説明されている。

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それでは目の進化はどう説明されているのだろう。

人間や動物の目については、進化論の反対論者にとってはとても都合の良い器官だった。こんな素晴らしい器官が、「自然選択でできあがったなんてとても信じられない。これは神のような創造者がいたことの証拠だ」「進化途中の半分の目が何の役に立つ。目というのはすべての機能があるべきところに収まっていて、役に立つものだ。」と長い間言われ続けてきた。この意見に対してドーキンスさんは言う。
「半分の目でも十分に役に立ってきたのだ」と。

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最初に光を感じる一枚の細胞シートを持っている生物が誕生する。この生物は光を感じない生物よりも敵から逃るチャンスを多く持っている。それゆえに生き残っていく。
光を感じるシートを保護するシートを持つ生物に進化し、さらに像がはっきりと見えるレンズ状のものに変化し、現在の人間の目になったと説明する。
進化は長い時間をかけて変化をおこす。
人間の目のように進化したものもあるし、鳥やイカの目のように進化したものもある。
それぞれが自分たちに一番有利な目を自然選択を経て、獲得してきたのである。
「半分の目でも目のないよりは有利だし、半分の目は49%の目より有利だし、1%の目でも目のないよりは有利である」と結論づけている。
これは翼でも同じ。
「単純な翼でも、翼のないものよりは有利」なのである。鳥の翼もいろんな種類があるし、ムササビのようにグライダーのように滑空する方向に進化した生物もいる。

こんなふうにしてたっぷりある時間の中で、生物は自分の生存する環境にとってふさわしい形態に、自然選択によって進化してきたというのである。

さて私の最大の疑問。人間は進化の最終地点にいてもう進化する余地はないのだろうか。

「・・・・・・少なくとも先進国においては死ぬことが難しくなってきていて、「自然選択」の切れ味が鈍くなってきていますが、アフリカなどではまだ若くして人々が死んでいきます。例えばアフリカではおそらくAIDSに対する耐性を持った人々がどんどん選択されてきているのではないでしょうか。実際AIDSに対する遺伝的な耐性が確認されています。ですからアフリカでは「自然選択」によって、AIDSに対する遺伝的耐性が選択されていると考えられます。」

人間の進化は、私たちの祖先の累々とした死によって導かれている、という戦慄的な事実に、あらためて目を覚まさせられた気がした本だった。

 

 

 

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