文楽4月公演

吉田玉女改め 二代目吉田玉男襲名披露

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上の写真は劇場前のポスター。 写真には午前の部が、
1.靱猿 
2.口上
3.一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
4.卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい) となっている。
私が行ったのは午後の部だったが、16日より午前の部と午後の部が入れ替わっていたので、口上を見ることができてラッキーだった。

歌舞伎の口上は見たことがあるが、文楽の口上は初めてだった。
読売新聞の夕刊に文楽4月公演の特集があった。(4月20日)
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新聞に書いてあるように文楽の口上ではご本人の挨拶はない。そこが歌舞伎と違うところ。 口上で、二代目吉田玉男さんは中学卒業とともに文楽の世界に入ったと紹介があった(もう少し前からボランティアのような形でかかわっていたそうだが)。吉田玉女(たまめ」から40数年の修業を経て、師匠の玉男(たまお)の名を襲名することになった。
人形を遣っている二代目はキリッとしていてとっつきにくそう。しかし公演が終わって、私たちが帰るときになんと二代目が観客の皆さんのお見送りをされているではないか。そこで私とならんだ写真を撮ることをおねがいしたら快い返事が。新聞の紹介のようにソフトな姿。
ここにツーショットの写真を紹介したいが、ご本人の了解を得ていないので残念。

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この本は、国立文楽劇場に行く前に時間があったので立ち寄った「福壽堂秀信宗右衛門町店」で見た本。福壽堂秀信の岡本社長の文楽についての話がのっていると、この店で教えてもらったので劇場で買った。
「文楽をゆく 二代目吉田玉男 祝・二代目吉田玉男襲名記念」(小学館)
この本には二代目の襲名に関わっての詳しい話ー体験と経験ーが、対談という形になって紹介されている。これは文楽に関心を持っている人は必読だなあ、とおもうほど内容のあるものだった。
ここには「襲名披露の公演には、先代の当たり役から選ばれる」という説明がある。

その演目が「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」。

内容は高校の古文で習った「平家物語」にある熊谷次郎直実が平敦盛を討ったことを題材にし、なんと平敦盛は生き残ったという、現代ミステリーもびっくりするような文楽独自の解釈で、さぞかし初演の時(宝暦元年ー1751年)には話題をさらっただろうと予想される内容。同じ読売新聞に、この演目についての解説があった。詳しい内容をここで紹介するのはかえって野暮になるのでここでやめておく。

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上の写真はその新聞記事の写真。 熊谷次郎直実が衣装を4回着替えるというところに、直実の心理描写があると解説している。
数多くの名場面で、一番人気があるのが高札を持っているところ。それがポスターにもなっている。この高札にはなんて書いてあるのだろうと疑問に思っていたので、そのポスターが会場ロビーにあったので間近に見ることができた。

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『此花江南所無也(こうなんのしよむなり)一枝折盗(せつたう)の輩(ともがら)に於ては天永紅葉の例に任せ、一枝を伐らば一指を剪るべし』

「一枝を伐らば一指を剪るべし」、一枝を切ったら、指一本を切るぞ、というおどかしだが、ここに義経が弁慶に書かせたという謎がある、というのが背景にある。指一本という謎掛けが、熊谷次郎直実にとっては・・・・。

先に上げた本、「文楽をゆく」に千日前にあるお寺、弘昌寺の住職鳥居弘昌さんの話がある。
「文楽ってものすごくリアルな芸能ですよね。心中物では男女が死に、仇討ち物ではときには我が子を殺す残酷なシーンもあります。人を殺す時にのたうち回る場面などはものすごくリアルですよね。ある意味、人間が演じる時よりもリアルな動き方をします。それを3人の人間が人形を遣って表現するのですから、世界にはない芸能だと思います。」
私は、「一谷嫩軍記」の相模(熊谷次郎直実の妻)と藤の方(敦盛の母)の二人の動きにこのことをすごく感じた。歌舞伎や映画以上に人間の描写がリアルだと関心した。

一つ目の「靭猿」は猿回しの猿の話、三つ目は柳の木の精を妻にするという話、ともに人間と人間以外の生き物とのつながりが描かれていて、江戸時代の人たちの自然観・人間観がうかがわれる。これも文楽の楽しみの一つ。

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演目がはじまる前に、1階の資料展示室で、文楽の頭を実際に扱わせてもらった。大きなものになるとずっしりと重いことがわかる。人形の顔を動かすことは簡単そうに思えたが、実際に相手の人形と視線を合わせたり、遠くにあるものに視線を向けるなどの動きはかなり修練がいることがよくわかる。

すべての演目が終わって外にでると、上弦の月が西の空に傾いていた。
私の知らないところで時が動き、伝統が引き継がれ、そして明日につながる。

 

 

 

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