ベイマックス 1

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映画「ベイマックス」を見てきた。(左の写真は、映画のパンフレットの表紙)

この映画は「アナと雪の女王」の上映のすぐ後に、日本を舞台にしたアニメーションが制作されているというニュースがあったので楽しみにしていた。
テレビでも予告編が流されていたけれど、私にはちょっと違和感があった。
というのは、先に読んでいた本と少し違うからだ。

これがその本の表紙。ちょっと雰囲気がちがいますね。

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 この本の題名は「BIG HERO 6」(THE JUNIOR NOVELIZATION)。

映画の小説版でジュニア向きに書いたものらしい。この本の中ほどに映画のポスターらしいものがあった。

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「近未来アクション ビックヒーロー6」と大きく書かれている。
説明には
「ロボット工学の天才少年ヒロが繰り広げるアクションアドベンチャーです。めまぐるしくかわるハイテク都市、サンフランソーキョーを破壊しょうとする謎の計画に、ヒロは巻き込まれていきます。ヒロは看護ロボット、ベイマックスの助けのもと、これまで戦った経験もない仲間たちと協力しながら、世界を守ることを決意します。」とある。

私はこの本を見て、てっきり冒険活劇ものだ、とおもっていたら、テレビでの紹介は「優しすぎるロボットと、最愛の兄を失った少年ヒロの絆を描いた感動アドベンチャー」と受ける印象は全く違う。

「アナと雪の女王」の原題も「FROZEN」だったりして、日本での公開には日本向けの変更があるようだ。
映画の作品の善し悪しはさておいて、日本の人たちにひとりでも多く見てもらうための工夫だろう。

私は本は本でおもしろかったし、映画は映画で楽しめた。
本ではわかりにくかったところも、映像で理解できたところもあった。
たとえば、GO GO TOMAGO がバイクで登場するところ。

She stopped short and tossed the bike onto a rack.

バイクをラックにトスする? 壁にバイクを引っ掛けることかな?でも重たいバイクをどうして?と想像していたが、なるほどあんなに薄いバイクなら可能だな、と思った。
また、HONEYの
・・・,and used her cell phone camera to snap a selfie of the boys and herself standing in front of the ball.

・・・,she took another selfie with Hiro and the gang.

携帯電話のカメラを使っているから、selfieとは、今流行りの自分撮りのことかな?と想像したがその通りだった。
本で一番わからなかったのは、ヒロが電池のなくなったベイマックスを家に連れて帰ってきたところで、Cassおばさんが夕食を進めるところ、

Well, at least take a plate for the road,okay?

このroadって、どういう意味? 料理の乗ったお皿、roadに持っていくの?どうするの?と推理しても見当がつかなかった。
映画の字幕では「部屋へ持って行きなさい」という意味のことを言っていた。
家に帰って、辞書やインターネットで調べてもピッタリの訳語はみつからなかった。どうやらroadには「停泊地」という意味があるので、ヒロの部屋のことをおばさんは冗談めかしてroadって言ったのかな、と思う。
映画を小説にした英語の本は、今のアメリカで使われている英語がでてくるので、私にはわからない表現が出てくる。でもそれも楽しみの一つ。

“Why are we stopped?” Go Go asked.
“The light’s red!” Wasabi exclaimed.
Everyone groaned.
“There are no red lights in a car chase!” Go Go screamed.

車で逃げるときに、赤信号で止まる場面だが、映画と本と重なっておもしろかった。

テレポーテーションの機械も、two large circular structures と表現してあるので、映画「スターゲイト」を想像したが、まあそれに近いものだった。
映画と本で二倍楽しめた、というのが一つ目の感想。

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2つ目は、ロボットの性格付け。
パンフレットには「心と体を守るケア・ロボット」と解説されている。
本には、
“Hello, I am Baymax, your personal health-care companion”
と言って登場する。
health-care だけであって、health and mental-careとは言っていない。
心のケアという原文にはない性格を、日本版のベイマックスは持たされている。そうすることによって、ベイマックスへの感情移入が容易になされ、「ああ私にもこんなロボットがほしい、癒やされたい」という感想がたくさん出てくるようになっている(と、私は受け止めた)。

映画でも本でも、チップ一つでベイマックスは戦闘ロボットになってしまうところが表現されている。映画のオリジナルタイトルも「Big Hero 6 」で、いわゆるヒーロー戦隊ものなのだ。

 ケア・ロボットが戦闘マシンに変わる、というところが私にはとても重くて、重要な事に思えた。
私が見たロボット映画、「ベイマックス」もそうだが、ロボットボクシングの「リアル・スティール」など、ロボット同士の戦い題材にした作品を見ていつも「鉄腕アトム」とアイザック・アシモフの「ロボット工学三原則」を思い出す。
そういえば、「リアル・スティール」のロボットの名前はATOMだった。

ロボット工学三原則というのは、作家のアイザック・アシモフさんが自分の「ロボットシリーズ」で基本とした考え方。ウィキペディアによると、

第一条  ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条  ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条  ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
— 短篇集『われはロボット』より

というもの。「われはロポット」という作品は1950年に書かれたものというからアシモフさんの未来予測は素晴らしい。

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左は自立型ロボットの「鉄腕アトム」の作品の中でも私が好きな一つ、「地上最大のロボット」の最後の場面。この作品は1964年から1965年に描かれている。手塚治虫さんの描く未来には、ロボットと人間のどんな関係があったのだろう。

アイザック・アシモフさん手塚治虫さんから50年たった21世紀の今、ロボットと人間を取り囲む環境はどうなっていて、どうなっていくのだろう。
考えてみたい。
そんなことが頭にうかんだ映画「ベイマックス」だった。