いまヘスティアのかまどは・・・

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最近読んだ本。
料理人と言われる人が書いた本に興味があった。

この「いまヘスティアのかまどは・・・料理人と仕事」は名著だと思う。なぜ料理人が書いた本に興味をもったかというと、新聞で「調理場という戦場』(斉須政雄著)という本が紹介されていたことが出発になる。考えてみると、新聞の本の紹介蘭は私にとって新しい世界を開いてくれる窓のようなものだと思う。

本のタイトルも刺激的なので図書館で借りてくると、本の表紙に書いてある糸井重里さんの文章がまたタイトル以上に刺激的な文章。

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ー「コート・ドール」斉須政雄の仕事論
料理人とグルメだけが読むのは、もったいない本です。
熱くて深くて、火が出るような言葉が盛りつけられます。
どんな年齢の人が、どんな職業の人が読んでも、
身体の奥底から、勇気が湧きおこってくるでしょうー

まさしくそのとおり。
フランス語も十分に喋れない若者がたった一人でフランスに行き、フランス料理の修行、しかもミシュランの三つ星、四つ星のレストランでの調理人を目指す、まさしく戦場のような調理場で闘い取った技量を持って日本で自分のフランス料理店を持つという力強くて骨太の生き方が私に勇気を与えてくれる本だった。
その斉須政雄さんが手放しで褒めている本がこの「いまヘスティアのかまどは・・・料理人と仕事」(木村武男著 発行モーリス・カンパニー 発売星雲社)。

残念ながらこの本は新板はない。私が読んだのは図書館の本で1985年の初版本。30年前の本で定価3000円。30年前の3000円はかなり高価な本だ。
しかし値段だけの価値のある本である。

この本の出だしは次のようにはじまる。

ー料理人の職業というのは、結局のところ、
「ものを食べやすくして、人によろこびをあたえ、健康管理をして、病人をつくらない」これが基礎的な、ものの考え方で、これ以上のなにものもないです。ー

「人に歓びを与える、健康管理をして病人と作らない」言われれば全くあたりまえのことだが、それが料理人の仕事の基礎だといわれると、ものすごく新鮮に感じられる。

私の心に一番響いたのは「上に立つものの役割」
・・・「人」のマネージメント、これは「人間だれしも、幸福でなければならない」のと、「人間も組織も、生き続けなければならない」との、二つのテーマを、一人ひとりに対して考えることです。・・・その中で、どうしても料理長がするべきなのは、まず、各人の素質や能力や素質を見分けること、さらにそれにもとづいて、仕事分担の決定や、個人の将来への判断をすることです。・・・

個人の幸福を考え、その個人の将来までをも考えて育てる、なんとすごい。すごいとしか言いようがない。

中頃に「料理人の幸福と未来」という部分がある。ここは「料理人」としてあるが、どの仕事についても基本はおなじだなあ、と思いながら読んだ。

この二冊の本を読んで、料理人の仕事をとおして、人間のベースとなる生き方について教えられることが多かった。
職種は違っても、いや違っているからこそ学ぶべきことが多い。

はっとした言葉をいくつか書いておこう。料理のことを書いているが、自分の仕事に置き換えても全てに通じるものだ。

◎われわれが素材としている食物は、空気と水に次いで、人の命をつなぐものでしょう。それが牛肉であれば、それは、牛の命の代償でしょう。こういう意識感覚が薄れ、または欠如するところに、料理人の盲点があると思う。(103ページ)

◎若い人は友人ということをもう少し広く考え、ワクを狭めない努力を今のうちから心がけるほうがいいと思う。
世の中の人が何を考え、何を感じているのか。
料理についてでもいいし、他のことでもいい。料理人でない友だちは、感覚的に内にこもりやすい料理人の頭をリフレッシュして、視点を置き直してくれる。(107ページ)

◎食べる人が感じるのが味。食べる人の身になってつくるのが料理人。(317ページ)

◎料理人にとって味というのは、
1.環境や条件との合致 ー食事の時間・食事の目的・だれと食べるか。

2.素材と人工との調和 ー素材相互の調和、加工技術内の調和、それらのトータルの調和。これらのととのいによって「うまい」と感じられる。さらに料理人には、

3.それらをみきわめる味覚 ー到達レベルとの差を発見して、埋めること。

4.それらを盛る美的な観念。

が加えられる。つまり、これらの総合が「料理人にとっての味』であり、それを満たしていくのが「味を決める」ことだと考えてはどうだろうか。(325ページ)

*ヘスティア ー  ギリシャ神話に登場する女神。 かまどを司る慈母神であり、子どもを守り育て、家内安全の神といわれ、ギリシャ神話の中でも特殊な存在と言われている女神。

 

 

 

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