鳥獣人物戯画展

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京都国立博物館にて開かれている「国宝 鳥獣人物戯画と高山寺(こうさんじ)」に行ってきた。
高山寺とは、そのホームページによると 「高山寺は京都市右京区栂尾(とがのお)にある古刹である。創建は奈良時代に遡るともいわれ、その後、神護寺の別院であったのが、建永元年(1206)明恵上人が後鳥羽上皇よりその寺域を賜り、名を高山寺として再興した。 鳥獣人物戯画、日本最古の茶園として知られるが、デュークエイセスの唄「女ひとり」にも歌詞の中に登場しています。 また、川端康成、白洲正子や河合隼雄の著書にも紹介されています。」とある。
後鳥羽上皇というと平安末期から鎌倉時代初期に名を残している人だ。
高山寺にはたくさんの国宝と重要文化財があるが、やはり一番有名なのは「鳥獣人物戯画」。4巻全てが展示されているのだから、いま見に行かなくてどうする。

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予想していたけれど、これほどの列とは。2時半頃から並んで、入館できたのは4時。なんと90分待ち。
また、中に入っても、鳥獣人物戯画を見るまでに50分。
なんともすごい列。
でも並んでいる人は静かに黙々と列の動きに従っていた。
私は後から来る人はみんな入れるのだろうかと心配になった。係の人に声をかけて聞いてみると、「5時半まで切符を販売しています。並んだ人が作品を見終わるまでは閉館しません」ということだった。

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「鳥獣人物戯画」の展示会場までに、高山寺の文化財が展示されている会場がある。たくさんの目や心を惹かれる展示物があったが、一番うれしかったのはこの経典。カタログによると「宋版華厳経疏(そうはんけごんきょうしょ)」というもので、華厳経の注訳書で、南宋時代の版本ということらしい。このほかにも宋版のお経の木版が展示されていた。宋版ということは、日本の明朝体の基礎となった文字である。
明朝体の活字の原点がここにある。それにしても一字一字版木にほり込んでいった人がいるわけだ。職人がいたのだろうか、お寺の担当の人だろうか、誰か知らない多くの人の力がこの木版のお経にはある。

でもお目当てはこの「鳥獣人物戯画」甲乙丙丁の4巻の展示。
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 これは甲巻のトップの絵。どうだろう。この流れるような線。生き生きとした描写。そして一瞬の動きを切り取った躍動感。900年前の人達の観察力と描写力に驚く。今回は2009年から2013年までの期間をかけて全面修理したもの。
その修理は甲乙丙丁の4巻を同時にするというもので、これまでになかった大修理だったと想像される。

甲巻 縦30.4cm 全長1148.4cm

乙巻 縦30.6cm 全長1189.0cm

丙巻 縦30.9cm 全長933.3cm

丁巻 縦31.2cm 全長1130.3cm

という大きなもの。私はそれぞれの全長が10m級のものとは知らなかった。
今回の修理の前は明治時代に行なわれたということで、この修理があったから「鳥獣戯画」の海外流失を免れたという側面史があるらしい。
私は絵巻のことは全く知らない。展示の説明やカタログを読むと、原図の裏には補強の裏紙がはられているそうだ。この「鳥獣人物戯画」の裏紙は1枚しかはられておらず、今回の修理で、肌裏紙、増裏紙、中裏紙、総裏紙の四層の裏打ちがなされたそうだ。次回の修理はいつかわからないが、今回の修理でこの絵巻はさらに後世に伝わっていくことができるのだろう。
この他にも、丙巻の前半の「人物戯画」と後半の「動物戯画」が裏表に描かれていたこと、丁巻の絵巻の裏面から薄く剥いで、剥いだものを修理に使っていることなどがわかったそうだ。

「鳥獣人物戯画」には、作者がわからない、絵巻の順序が作成当時のものと入れ替わっているらしいこと、絵巻から抜き取られた絵が散逸していることなど、謎とミステリーがあってまだまだ解き明かされていないことが多い。

私はそんな謎がおもしろかったことと、本物の「鳥獣人物戯画」を目の前にして、その美しさに感心した。
大修理のおかげだろう、最近に描かれたかのような存在感があった。
本物にふれる感動、リアルな感銘があった。

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四巻の絵図を見て外に出たのが6時すぎ。

外にはまだまだ列になって入館を待っている人達がいる。
11月6日には10万人の参加者を超えたそうだ。
最終日にはいったい何万人の参加者になるのだろう。

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左の写真は、売店で求めた総合カタログ。 このカタログにはおまけとして、「鳥獣戯画」甲乙丙丁の4巻の全てがのっている豆本がついている。

これはお得なカタログだと思う。
甲乙丙丁4巻のすべてを見る機会は私にはもうないと思う。

10万人をこえる人たちがこの「鳥獣人物戯画」を見に来たということはとても素晴らしいことだと思う。
できれば、小中学生にこの絵巻をみてもらう機会がないものか。歴史の本物にふれる機会だから。
社会科の教科書や資料集を手に持ちながら、「教科書にのっている写真の実物がこれか」「学校の資料集で見た絵の本物がこれなんだなあ」と感嘆の声をあげながら見学できる、そんな時代になればなあ、と夢を見ながら京都国立博物館を後にした。

*なお記事内の鳥獣戯画の絵、経本はカタログよりコピーしたもの。

 

 

 

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