ここはアンシリーズの第3巻「アンの愛情」の舞台と考えられているところ。
「アンの愛情」では、アンが住んでいる下宿のそばに古い墓地公園があり、アンが好んで散歩をしたことが描かれている。
その墓地公園のモデルがここ。
物語に記されているとおり、「クリミア戦争戦没者の霊を祀ったライオンの像がついたアーチ」がある。
古い墓地公園で、今は記念公園のような扱いになっているようだ。
物語にあるように、天使とドクロを組み合わせた墓石が幾つか見つかった。
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「キングスポートの市民は一人残らず、この町に、旧セント・ジョン墓地のあることを思うと、胸がじんとする誇りをおぼえた。なぜなら、ひとかどの人物と自負する者なら、祖先がこの墓地に埋葬されているからだ。横たわる死者の頭のところには、風変わりな墓石がかたむき、あるいは、墓をかばうように石がおかれている。墓標には、個人の生涯のおもだった歴史がすべて記されている。だいたいにおいて、昔の墓石は、こった装飾や技工をこらしていない。大半は、このあたりに産する茶色か灰色の石を、荒く彫っただけであり、飾りのあるものは、わずかにすぎなかった。飾りには交差した二本の骨と髑髏もあり、こうした気味の悪い装飾には、しばしば幼天使の顔もきざまれていた。」(「アンの愛情」松本侑子訳 P42)
ここはお屋敷町。「アンの愛情」で、アンが友だちと借りた「パティの家」のモデルを探す。
「あの通りには、小さくて、それはすてきな家があるの、アンにも見せたいわ。百万長者が建てたんじゃないのよ。公園を出た一軒目にあって、スポフォード街が、まだ田舎道だったころ、自然に生えたにちがいないわ。生えてきたの・・・建てたんじゃなくて! あの大通りの屋敷は、私の好みじゃないわ。真新しくて、板ガラスみたいにピカピカだもの。ところが、その小さな家は夢のようなの・・・家の名前もね・・・」(「アンの愛情」松本侑子訳 P75)
あれかな、これかな、と探す日本人の団体。 松本侑子さんは「毎年日本人のお金持ちそうな団体がウロウロしているのを見て、この辺の人達は家を買いに来ているのかなあとおもっているにちがいないわ」と笑ってらっしゃる。 肝心のパティの家は、・・・松本侑子さんが取材でこれにちがいない、と思った家はハリファクスを直撃した大型台風のために壊れてしまい、全く新しい家に建て替わってしまったそうだ。そういえば、古いお屋敷の中に近代的なデザインの屋敷もあった。100年の歴史の中にはいろんなこともおきるものだ。
お屋敷町を通りぬけると港が見える橋に出る。 橋の下には鉄道の線路が。 モンゴメリさんの時代は、船でプリンスエドワード島から本土に渡り。そこから汽車にのり、ハリファクスの町にやってきたのだろう。 私たちはコンフェデレーション橋のおかげで、10数分で海峡をわたり、バスで4時間だったが、100年前はどれほどの時間がかかったのだろう。「アンの愛情」では早朝にダイアナの馬車に乗って出発したアンは、汽船と汽車を乗り継ぎ、午後9時にキングスポートに到着している。丸一日の長旅だったのだ。
さて、次はアンが理想の男性と思った人と出会った場所(のモデル)に向かう。