教科書体と明朝体2

IMG_20140125_0001前に、明朝体を示して手書き文字のどれが正しいのかを考えるクイズを出したが、今回はその結果を考えてみたい。
そもそも文字ははじめに手書きによる文字があり、ー 中国からの漢字の伝来からひらがな、カタカナの発明というように、音声の言葉を文字として書き表す方法を創造してきた。長い期間、筆による毛筆の書体が中心であったが、明治の金属活字の発達、そして戦後はあらゆる分野で活字文字、フォントが活躍し、字体も様々あるがその中でも圧倒的に明朝体の文字を目にすることが多い。
文部省は明朝体による手書き文字への侵略?を憂いたのか、常用漢字表を提示するときに、わざわざ「字体についての解説」で明朝体と手書き文字(楷書体)の関係について書いている。そこにあるのは、「明朝体ではこうなっているから、手書き文字の今までの書き方はまちがっていたのだ。明朝体の文字のようにあらためなくてはならない」と言う考え方をしてはいけない。ということだ。
具体例をこの「字体についての解説」でしめしている。

結論から言うと、上の手書き文字はすべて正しい。明朝体にあわせる必要はありません、と言っている。

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もう一度「常用漢字表」の前書きを見てみよう。
「常用漢字表では、個々の漢字の字体(文字の骨組み)を、明朝体のうちの一種を例に用いて示した。このことは、これによって筆写の楷書における書き方の習慣を改めるようとするものではない」とはっきりと書いている。
そして、「字体としては同じであっても、1,2に示すように明朝体の字形と筆写の楷書の字形との間には、いろいろな点で違いがある」とまで言っている。以下にその例のコピーしてしめしてみよう。

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衣の四画目、去の四画目、玄の三角目と四画目は明朝体のデザインのように書かなくても良いということだ。

 

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人、家、北も普通に書いているように書けばいいのだ。ことさら明朝体に似せる努力はしなくてもよい。

 

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芝、史、入、八などを鉛筆などで書くときに筆押さえも必要はない。小さい時に友だちに山川惣治作「少年王者」という絵物語を借りて読むのが楽しみだった。ジャングルで育った少年が、国語辞典をまねして漢字が書けるようになり、その字は全く辞書の活字の通りの漢字で、筆押さえなどもそっくり書いていた。鉛筆がたくさんいるなあ、と思ったことを思い出した。

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曲げるのも自然でよい。わざわざまっすぐに書かないのはあたりまえ。

 

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辶、竹かんむり、心も自然に曲げればよろしい。

 

ここからは書き文字にはいろいろな書き方があること、それを尊重することが書かれている。
雨の一画目の長さ、戸の一画目の長さや傾き、無の真ん中の横線、自然な流れで書けばいいので、ことさら厳密にしなくてよい。

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字の傾きやくっつくのか、離すのか、書き文字の特性を考えればいい。糸へんの下の三つの点の書き方も固定されてはいない。明朝体の活字に引っ張られる必要はないと言っている。

 

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くっつけるのか離すのか、子どもたちが困る所。保などは気になるところだが、人の名前などでは離して書くほうが多いしかっこがいいと思っていた。これまで書かれていたとおりでいいのだ。

 

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奥の最後、公の二画目、角の三角目、骨の月、はらってもとめてもいい。

はねる、とめる、は悩んだ所。でもこれまでの多様な書き文字の実態が尊重されている。明朝体がはねているから、とめているから、書いた字が間違っていると考えないように。

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これはさきほどの続き。木,来、糸、牜、環の字では「はねてはダメ」と言われた人が多かったのではないだろうか。
はねて間違いなのではない。環の字などは戦前ははねるように教えていた。明朝体によって指導する人が引きずられて、はねてはダメ、となったのだろう。

 

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その他に「女」という漢字が出ている。線から出るのか出ないのか、でしゃばりになるな、と教わった人もいるのでは。筆で書いていた時からどちらでもよかったのだ。これも明朝体に引きずられた結果。

 

「常用漢字表」ではこの他にも例があげられている。
とりわけ明朝体の活字そのものに多様性があるため、どちらが?と悩むことが多い。
前書きに「明朝体のデザインについて」と書かれているところは、文字を教える立場の人は必読だと思う。

漢字について調べているうちに、ひらがなはどうなのだろうか?と思い出した。
次の機会にしたい。

 

 

 

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