だいじょうぶ三組

だいじょうぶ3組

この本は2010年9月に講談社から出版されている。
私はこの本が出た時に直ぐに購入した。この本は乙武 洋匡(おとたけ ひろただ)さんが2007年に小学校2級免許をとり、そこから3年間講師として小学校の教師を務めた体験をもとにしてできあがった小説である。
私は一気にと言っていいぐらいに読み、若い人たちに読むことをすすめた。今も機会があれば紹介している。
乙武さんの小学校教員の体験をもとにしながら、これまでの取材や多くの人達の取り組みがきっと反映されているのだろうと思う。
自分のドキュメントとしてではなく、小説としてのスタイルをとっているのはすべてが現在進行形だから配慮するところもあったのだろう。

だいじょうぶ3組1この本を原作として今年の3月に映画化された。そのDVDが左の写真。
映画を見るのを逸したので、DVDになったのでさっそく見た。
主人公は電動車いすに乗った赤尾慎之介先生ではなく、国分太一さん演ずる介助員の白石優作先生である。白石さんの目を通してドラマが進む。赤尾慎之介を演ずるのは、これは乙武洋匡さんしかいない。乙武洋匡さんが体当たりて演じている映画だった。
映画なので原作と違うところが多々あるがそれはしかたがないと思った。
私にとっては、乙武洋匡さん自身が映画に登場すること自体が衝撃であり、意味がある映画だと思う。
乙武さんが教員免許をとろうとと思ったのにはわけがある。以前紹介した「池上彰が聞いてみた『育てる人』からもらった6つのヒント」に、その理由が書いてある。
「〜次の世代のために、今度は僕が力を尽くしていく番だと思った時から、教育に関心が向いていきました。ただ、その時点で教員免許を取ろうと思っていたわけではありません。教育に関心をもって、勉強をしたり発言をしたりしていたころに、作家の重松清さんとお会いしたのがきっかけとなりました。
重松さんは、ご存じのとおり子どもや学校をモチーフに多くの作品を発表されている方ですが、そうすると教育界に、「重松に教育の何がわかるんだ。教員免許をもっているのか」と言われることが多いのだそうです。そこで「実は教育学部を出て教員免許をもっています」と言うと、ようやく認めてもらえると。
「乙武くんのことはとても応援しているけれど、今のままだったらいつか壁にぶつかるときが来ると思う」と教えてくださいました。
教育界から部外者としてしか扱ってもらえないのであれば、活動の意義が半減してしまいます。やはり教育界の一員だと認めていただいた方が意義のある活動ができるのではないかと思い、29歳のときに(教員免許を取るために)明星大学にお世話になることになりました」
このあとこんな文章が続く。
「本当に学校現場はがんばっていて、どの学校にも情熱を持ってさまざまな工夫をし、魅力的な授業をしている先生がいらっしゃいました。そんな姿を目にして、有名なドラマのセリフじゃないですが、教育も『文部科学省の会議室で行われているわけじゃなくて、教室という現場で行われているんだ』ということを実感したんです。〜」
そんな乙武さんの思いが、3年間の実践となり、この小説や映画につながっているということだと思う。

IMG_20131221_0001私はDVDを見終わってからすぐにこの本を購入した。この本は本当に一気に一日で読んでしまった。この2冊の本には、全国の学校の取り組みが反映されていると思う。本と同じような体験をし、子どもと出会い、子どもに寄り添った多くの実践があると思う。本での赤尾先生に勝るとも劣らない熱心な取り組みが全国で、今日も進められていると思う。そんなことに思いを馳せる本であり映画であった。
ところで、私はこの本を読み始めて、「もし赤尾先生が、乙武さんが自分の地域の学校に来たらどうするだろう?」とずっと考え続けた。本や映画の舞台は東京である。大阪から見て「こんなことが学校で話されているのか」と思うこともいくつかあった。大阪では考えられないなあ、と思うこともあった。
大阪で、映画の赤尾先生のような先生が採用されるとなるとどんな議論が巻き起こるだろう。様々なことが予想されるが、「こんなことはないだろう」と思うことは一つある。
同じ池上彰さんの本でこのブログでも紹介した「先生!」に乙武洋匡さんはこんな事例を紹介している。

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〜「先生には、手と足がありません。だから、できないことがたくさんあります。もし先生が困ってるなと思ったら、いろいろ手伝ってください」
これは、僕が実際に始業式のあいさつで口にした言葉。だが、このあいさつが、思いがけず職員室で波紋をよぶことになる。
「教師が子どもたちの前で、『いろいろ手伝ってください』などと言ってしまうのは、どうなのでしょう・・・」
教師とは完璧な存在で、子どもたちの前では全知全能であるべきだーそんな考えを持つ教師が少なくない。だからこそ、初対面でいきなり自分の弱点をさらけだし、さらには「手伝ってください」などと言いだした新任教師の言葉に、一部の教師たちは違和感を抱いたのだろう」
大阪ではこのよう議論は起きないと思うし、おきないと信じたい。

本と映画は乙武洋匡さんのドキュメントではない。体験と取材によって創作されたものである。しかしこのような本が出版され、映画になったのは、その地域の理解や教職員の共通理解があったからだろう。そんな素晴らしいことがなぜ一般化しないのだろう。大阪でも同様な取り組みががあると思う。どうして日本全体の財産として、継承し発展していかないのだろうか。
そんな思いに風穴をあけてくれるのが、ここでは乙武洋匡さんである。私はこれらの本や映画は問題提起の本と映画であり、ご本人には失礼かもしれないが乙武洋匡さん自身が問題提起そのものの役割をはたしていると思う。その問題提起にどう答えていくかが私の課題だと思った。

 

 

 

だいじょうぶ三組” への2件のコメント

  1.  いつも素敵な本やDVDを載せてもらっているので有難いです。「だいじょうぶ3組」は知り合いの若い先生に紹介をしたいと思います。今日は長年の知人で尊敬する先生とお別れをしてきました。碧空の空さんの思いのこもった弔電を聞きました(この弔電が代表して読まれました)。よくしゃべるYさんから碧空の空さんに「お礼を言っておいて」と頼まれました。当方からもお礼を言います。有り難うございました。
     一度当方のパソコンのメールアドレスに空メールを下さい。

    • 風見鶏さんへ
      ありがとうございます。
      神様や仏様は自分の周りにいい人をおいておきたいのですね。
      風見鶏さんのアドレスがわからないので、私のブログ「雲外蒼天」のトップにある「お問い合わせ」にメール下さい。

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