錦秋特別公演 芯 2013

IMG_20131006_0005_2歌舞伎舞踊、津軽三味線、和太鼓のコラボレーションということに惹かれてチケットを買った。

錦秋特別公演は今年で9回目、「芯」は3回目という。
詳しい経過はわからないが、地方の少女から「歌舞伎を見たいけれど交通費や宿泊費がかかるのでむずかしい」という内容の手紙が届いたことが出発点だそうだ。「それなら僕達の方から行こう」と2005年から毎年全国各地10ヶ所前後を巡演するようになった。今回は、9月28日〜10月10日の間に、岐阜県、岩手県浄土ヶ浜、長野県、東京都、広島県、香川県、岡山県、堺市、金沢市、愛知県をまわっている。

2009年に津軽三味線、和太鼓とのコラボレーションを「芯」として披露し、今年で3回めになるということらしい。「芯」というのは「人間の体の根っこ『芯』がぶれてはいけない、という意味を込めた舞台です」。と説明されている。

資料によると、今年は、和太鼓集団の「TAO」のステージ、高橋竹童の津軽三味線演奏の後、勘九郎・七之助が夫婦にふんし軽快に踊る「団子売(だんごうり)」(昼の部では勘九郎が妻のお福、七之助が夫の杵造。夕の部で入れ替わる)。そして最後にコラボレーション「芯」(藤間勘十郎演出・振り付け)というプログラムになっている。

IMG_20131007_0001写真は当日に買ったパンフレットの最後の部分。今日のような舞台は裏方さんの活躍があってのもの。このパンフには名前が大きく紹介されていた。
歌舞伎舞踊・津軽三味線・和太鼓のコラボレーションともなるとその準備は大変だったと思う。
しかも今回の「芯」は新作ということだからなおさらだったろう。
華やかな舞台を支え続ける人たちを忘れてはいけないとあらためて思った。

なるほど、これがコラボの効果か

プログラムのTAOの和太鼓、高橋竹童さんの津軽三味線、中村勘九郎・七之助の歌舞伎舞踊、手足の隅々まで神経の行き届いた一流の芸だ。ますますこの三者のコラボレーションに興味がわく。
「芯」のテーマは人間の持っている善と悪。古典歌舞伎の大前提である勧善懲悪をベースに舞台が作られている。
中村勘九郎の悪の化身はダイナミックな所作で舞台狭しと暴れまわる。見事な跳躍、歌舞伎の型で決める動から静への流れ。中村七之助の善の化身のさわやかさ。見事な対象の動き。古典歌舞伎にも派手な動きがあるが、今回の動きは体全体を使った躍動感のある動きだ。中村勘九郎の悪の化身が舞台の端から端までアイススケートのように滑っていく姿には思わず歓声と拍手が。
二人の演技を支えているのが、和太鼓、津軽三味線、そして歌舞伎のお囃子。なるほど、三者三様の音がこの舞台にピッタリの音響空間をつくりだしている。これがコラボレーションの効果か、と思う。
パンフに「善が悪に打ち勝つとき、その戦いや様々な葛藤により生まれる思いや形、すべてが人の忘れかけている『芯』に繋がると思います。またふっとした心の迷いから生まれた『悪』も打ち砕かれながらも浄化し、再び『善』とひとつになり、人間の『芯』をささえるものとなることでしょう」と書かれている。
人間のもつ悪と善の両方をまるごと包んで切り捨てない、これもコラボレーションかもしれない。
舞台が終わると歌舞伎にはないカーテンコール。年配の人が多いなあという印象だったのに、なんとスタンディングオベーションがはじまった!
中村兄弟、TAO,高橋竹童さん、みんなニコニコしながら手を振っている。ここでなにか口上やトークがあったらなあ、そう思ったのは私だけではなかったと思う。
コラボレーションによって新しい世界を切り開く、華やかな世界を創りだした背景には、並々ならぬ努力と工夫と精進があったに違いない。
背中がぐっと伸びた気分で会場を後にした。

 

 

 

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