高田郁さんのサイン会

IMG_20131006_0002
大阪の書店員が選ぶ本、Osaka Book One Project にあの「みおつくし料理帖」の高田郁さんの作品「銀二貫」が選ばれた。
最近書店に書店員が選ぶ〇〇の本、というのがよく並んでいるが、この取り組みは少し違う。大阪の書店、問屋、取次店がその垣根を超えて「ほんまに読んで欲しい本」をえらび、「大阪発のベストセラー」を生み出そうという企画。ここまでは「いいことだね〜」という感じだが、私が惹かれたのはその売上を「養護施設の子どもたちに本をプレゼントしよう」につながっていること。私自身が本に育てられたようなものだから、小さい時から本に親しむ機会を持ってほしい、とりわけ養護施設の子どもたちにはと感じた。

駅前の書店に「高田郁先生 サイン会&ミニートーク会」の案内があった。以前から高田さんのお話を直接聞いてみたいなあ、と思っていたのでいい機会と思って店員さんに聞いてみた。
「この銀二貫、持っているんですが買わないとだめですか?」
「はい。この本買った人に限定でのサイン会ですから・・・」
「やっぱりね・・・」
「私も持っていたんですが、サイン会のために書いました!」
書店員さんの言葉に背中を押されて、新しく買うことにした。

IMG_4718サイン会&ミニトーク会には100人ぐらい集まっていた。年齢の幅も大きい。若い学生さんから年配の人、和服を着た人。女性のほうが多い、でも落ち着いて真面目そうな人が多いなあという印象。
高田さんの写真も録音もお断り。サイン会で一緒にピースサインで写真を、と思っていたがダメ。

高田さんの姿はご本人曰く、「キャメロン・ディアスに似ていると言ってくださいね、わからなかったら壇蜜でもいいわ」という気さくなお人。

お話は30分程度のこれまでの作品作りについてで、あとのサイン会に一人ひとり会話をしながらサインをしていくことに重点が置かれていた。その時に読んだ感想や思いを一生懸命語る人の姿がめだった。高田さんも嬉しそうにニコニコしながら受け答えをされていた。

参加者に高田郁さんが描かれた「銀二貫 街歩きマップ」のプレゼントがあった。松吉と真帆のイラストと会話が面白い。
「松吉、お前はんとこから私の団子屋までえらい遠おますなァ」
「へえ、お嬢さん。P316では、私、お嬢さんを抱きしめるどころか、心の臓が壊れるところだした」

松吉の井川屋は天満の天神さんのそば、お嬢さんの団子屋は順慶町(今の南船場)。かなりの距離。この距離を高田さんは実際に走ったという。
みおつくし料理帖の料理もすべて実際に作ってから作品にのせるそうだ。その姿勢、真面目さが作品ににじんでいると思う。
有名な作家で作品(歴史小説)に出てくる豪快な料理について編集者が「先生も実際に料理をされて?」とインタビューしている記事を読んだことがある。
その作家は「作っていません。こうだったらいいだろうなと想像して書いただけです」というようなことを答えていた。私はそれを読んでもうこの人の本は読まないなあと思った。読者をばかにしている、作中の人物や世界をばかにしていると感じたから。
高田さんの作品にはそんな嘘はない。清潔さと清々しさがある。

IMG_20131006_0004左の写真は高田さんが漫画の原作者だった時の作品「Mourning! モーニン!」の表紙。「みおつくし料理帖」が出た時に古本屋さんで買った。テーマは「人の死と葬儀」。
人生で避けることのできない、でも積極的になかなか考えられないテーマだ。

高田さんのエッセイで、天王寺夜間中学校の入学案内ビラを毎年生徒さんと一緒に配っている、というものがあった。
社会の底辺といわれるところに置かれている人たちの生きる情熱に目を向け続ける高田郁さんの作品を、これからも楽しみにし、読み続けたいと思う。

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA