イプシロン 打ち上げ成功!

IMG_385314日午後2時00分00秒、新型ロケット「イプシロン」1号機は内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から打ち上げられ、約1時間後に搭載していた惑星分光観測衛星(「ひさき」と命名)を南米の上空1100kmで分離し、軌道に投入することができた。
予定されていたミッションは成功裏に終わった.
このあと約2ヶ月かけて「ひさき」の姿勢制御などの調整をし、11月頃から惑星観測を開始する予定だ.
内之浦には約2万人の人たちがイプシロンの発射を見ようと集まった。
土曜日だったので前回の時よりも5000人以上多くの人が多く集まったという。

 

スクリーンショット 2013-09-15 8.58.13

右の写真が打ち上げ直後のイプシロン。
上の写真は、JAXAのホームページにあったイプシロンのペーパークラフトを作ってみたもの。
宇宙に関心を持ってもらおうと、JAXAは様々な工夫をしている。ペーパークラフト以外にも、イプシロンの地上絵を描くための設計図も公開されている.URFを紹介しておく。
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/epsilon/index.html

「主材料は逆境とよき仲間」

スクリーンショット 2013-09-15 8.24.19この計画のプロジェクトマネージャーの森田泰弘教授の苦労は並大抵のものではなかっただろう。
2006年に世界最高の折り紙つきのM5ロケットの開発が打ち切られた絶望の中で、プロジェクトマネージャーとして全く新しいコンセプトのロケット、人工知能による自律点検、打ち上げ管制の効率化という、NASAでさえやってこなかった前代未聞の新鋭ロケットを完成させたのだから。
イプシロンという意味は、Evolution & Excellence、Exploration、Educationの頭文字からと言われている。もともと日本の固体ロケットはギリシャ文字からとることが伝統的になっている。ペンシルロケットから数えると5番めなので、α、β、γ、δ、ε から ε が採用されたという説もある。
森田教授たちには別の理由もあった。記者会見から見てみると、

産経新聞 今までイプシロンの命名の半分がエクセレンスやエデュケーションの頭文字だがそれは半分だとおっしゃっていました。イプシロンの命名の理由の残りの半分は成功会見でということだったので。この場で話してもらえればと思います。
森田
とても良い質問です。まずイプシロンの記号の意味。小さいけれど存在感はある。これが1/4。残りの1/4は今回初めて話します。
3年前に開発承認された時、宇宙研の先輩に相談したところ「Mロケットの精神を忘れるな」と言われた。Mロケットの精神は、「世界の先を行け。自分の力で未来を拓け」ということ。M-VIでもないなと的川先生とM組立室でギリシャ文字を並べて相談していたところ、的川先生が「Mを回して横にすればEだよね」と言ったのです。Mでありながら、全く別次元に変身したロケットということでイプシロンと命名した。これからかわいがってください。

epsilon1右の写真はイプシロンの性能計算書の表紙。お酒のラベルではない。
性能計算書の表紙に遊び心を加えるのが旧宇宙科学研究所以来の伝統だそうだ。日本酒などのラベルをロケットや衛星にちなんでパロディー化するのが通例になっているということでそれがこの写真。
「伝統固体 新燃(しんねん、と読ます)」鹿児島には新燃(しんもえ)という焼酎があるそうで、そのパロデイ。しんねんと読ますのはもちろん信念のこと。伝統固体というのは、伝統的な固体ロケットということですね。
「いつでもどこでもヘルメットをかぶらずに簡単に飲めます」モバイル化のことでしょう。
「原料 逆境とよき仲間」 苦労したことがやっと報われたんですね。
その他に「賞味期限は7年ですが、どんなことがあっても決して腐りません」腐りませんがもうひとつの意味のくさりませんなんでしょうね。
また「製法を新しくしたので、瓶づめから発送までの期間が短縮されました」 短時間での組み立て、打ち上げのことですね。
4129z2LoOlLまだ他にもあるがよく考えてある。
左が本物の焼酎。そっくりなラベルにあらためてこの性能計算書の表紙のおもしろさにびっくり。
この柔軟さが逆境を乗り越えるエネルギーなのだろう。カチカチに固まった組織、自分の肩の力をふっと抜くことができるこのユーモア。
どこの会社にも、社会にも、人間関係にも必要な物だと思う。

翌日のテレビ、サンデーモーニングで司会者が「これもまた宇宙のゴミになるの」という意味のコメントをしていたのにはがっかり。
イプシロンは宇宙のゴミじゃない。小さくても世界一の技術の成果なのだ。