カジュアル ベイカンシー第1巻

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カジュアルベイカンシー(突然の空席)
作 J.K .ローリング

ハリー・ポッターから5年、どんな本かな?、と出版されるとすぐに図書館の予約に入れる。半年たって1が私の手元に。2はまだ39人待ちの本。
正直に言って私は、ハリー・ポッターは映画は見たが原作はまだ読んでいない。
実はハリー・ポッターがイギリスやアメリカで出版されたとき、「小学生向きの本」と言う紹介なので、翻訳ではなく原文で読もうと思い英語版の第1作を買った。えーっ、これが小学生向き?と頑張ってみるが四分の一ぐらいでギブアップした。
J.K.ローリングの本ははじめても同然だから、「前作に比べて、、」などということもないし、「ハリー・ポッターの作者だから」という思い込みもなしに読めた。

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読み始めてたくさんの人物が出てくるのにびっくり。昔読んだ世界名作全集などの本には必ずといっていいほど「登場人物一覧」があったがこの本にはないのか?と思い探すが見当たらず。図書館の本だからかなあ、と自分で書き出していった。インターネットで調べるとやはり同じ思いをした人がいた。相関図をダウンロードして本と見比べながら読み進めた。

パグフォードというイギリスの架空の小さな町が舞台。街の開発、いわゆる地の人と入り人との対立、背景にあるイギリスの階級社会、世代間の対立、夫と妻、子どもたちの価値観の対立などの社会的矛盾が、バリー・フェアブラザーの突然の死によって浮かび上がってくる。いろんな出来事に対しての夫婦間の会話、恋人や友人同士、親子の会話から次々と織りなすように人間関係が理解できるように組み立てられている。ゆっくりゆっくりとこのパグフォードの世界に入っていければ400ページの第1巻も読み通せる。でもいらいらしてしまって投げ出してしまう人も多いだろうなあ、とも思う。

J.K.ローリングさんがハリー・ポッターの第一作を書いたというエジンバラの喫茶店やロンドンのキングス・クロス駅を思い浮かべるとこのパグフォードの街の雰囲気もなんとなく伝わってきた。

多くの登場人物の中でも気になるのは、総合中等学校の16歳のファッツ、アンドルー、ガイア、クリスタル、スクヴィンダーたち。いじめ、差別、低学力、学級崩壊、児童虐待、麻薬、、、読みながら私が体験した学級崩壊やいじめ、大人不信の子どもたちの姿と重なってくる。そこに書かれている子どもたちの悩みや考え、思春期特有の正義感と無力感がよく伝わってくる。イギリスの青少年も日本の青少年も同じように悩み苦しんでいるのだなあ。どこに彼らの希望と夢があるのだろう、第1巻ではその行き先が見えてこない。一つ一つの出来事を積み重ねながら物語は展開していく。着地点はどこにあるのだろう。第2巻が私の手に来るまで心のなかの「空席」が埋まらない、、、。